大丈夫?子どもの目

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子どもの「目・見る力」を健康に育てるのは親の責任です。


●目のきょうせいは大切です
「近視」より注意したい、脳の発達をじゃまする「遠視」
●心のストレスを「目」でうったえる子どもたちがふえています
●「大丈夫?子どもの目」とは

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●目のきょうせいは大切です

 4、5歳の幼児がメガネをかけているのをよく見かけますが、このぐらいの幼児がかけているメガネはおそらく近視や乱視で低下した視力を良くするものではなく、視力を育てるためにかけている遠視のメガネだと思われます。同じメガネでも使う目的はまったくちがいます。

 もし、このような遠視のある幼児が視力を育てるためのメガネをかけないと、視力が十分に育たなくなり、より目の斜視になったり、両目でしっかりものを見ることができなくなって、ものが立体的に見える立体感覚、見ている物との距離の差を感じる距離感覚は十分に育ちません。そのために、交通事故にあいやすくなったり、スポーツがうまくできなくなったりするだけでなく、日常生活にもいろいろと不便や困ったことが起こることがあります。

 子どもの目は、これらの能力が育っている最中です。子どものうちにこれらの両目で見る力(両眼視)を育てておかないと、大人になってからでは育てるのがむずかしくなり深刻な問題になります。

 しかし、目の機能を育てるには時間がかかるために、根気のない親はさけたがります。 また、普通に物が見える親では、自分の子どもが普通とやや違って見えるという感覚が実感できないために、治療にはそれほど真剣に取り組めないということもあると思います。

 子どもの近くにいる大人でさえ、子どもの目に関して知らないことが多いようです。

 子どもの目の力を健康に育てるのは、お父さん、お母さんの責任です。目や見る力の健康な発育についての正しい知識を、ぜひもつようにしてください。

 

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●「近視」より注意したい、脳の発達をじゃまする「遠視」

 近視、遠視、乱視というと、それだけで子どもの目が異常になったと考えるお父さん、お母さんがいらっしゃいますが、これらの目の状態は異常ではなく、生理的なバリエーションの範囲であるとも考えられます。だから、あまり大げさに考えて深刻になることはありません。ただし、「遠視」は目や脳の発達のじゃまをするために、子どもの目では近視もさることながら、遠視に注意をする必要があります。

 というのは、近視は遠くはあまり見えませんが近くがよく見えるために、凹レンズのメガネをかければ、すぐに必要な視力がえられます。しかし、遠視は遠くのものも近くのものも網膜にしっかりと像を結ばないために、そのままにしておくと脳にきちんと信号が伝わらなくなり、脳のなかにある見たものを分析する部分が十分に発達しなくなることがあるからです。その結果、斜視や弱視になることもあります。 弱視はたいへんやっかいなトラブルで、メガネをかけても視力がよくなりません。

 三歳の子どもが目にけがをしてたった数週間眼帯をしていただけで、その目が弱視になって見る力が失われてしまった例もあるのです。それだけ子どもの目はナイーブなものなのです。

 そのためにも目に対する正しい知識と早期発見、早期治療がなによりも重要です。

 お父さん、お母さんには、子どもの目は大人のように完成した目ではなく、発達段階にあるためにとてもナイーブなものである、ということは知っておいてほしいと思います。さまざまな環境や精神的なものによっても影響を受けやすいのが子どもの目です。

 

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●心のストレスを「目」でうったえる子どもたちがふえています

 幼稚園や学校に行く時間になると、お腹や頭が痛くなる。病院でみてもらっても、原因がわからない。こうした例は、私たちのまわりでも起こっており、「心身症」という言葉で知られています。これは体の器官やその働きがしっかりしているのに、その人の心に何らかの精神的ストレスや社会的ストレスが加わって、まるでいろいろなトラブルが起こっているかのような症状を起こすのことです。心身症は腹痛や頭痛だけでなく、食欲不振、夜泣き、吐乳、嘔吐、どもり、頻尿、夜尿、動悸、登校拒否など、さまざまな症状をひき起こします。

 

 そして、あまり知られていませんが、心身症は症状の一つとして目にもあらわれます。

 このところ、心身症による目のトラブルが注目されてきています。

 目、神経、脳そのものには問題がないのに、「見る」という機能にトラブルが認められるのです。たとえば、視力が落ちたり、見える範囲(視野)や色の感覚(色覚)にトラブルが発生したり、まばたきが多くなったり(チック)、斜視になることもあります。

 心身症による目のトラブルは、以前は戦争、災害による心へのダメージ、肉親や恋人との死別、離婚など、あきらかなきっかけによる心理的ストレスによって起こることが多く、症状があらわれる年齢は、思春期よりあと、つまり十八歳以上が普通でした。ところが、最近では小学校高学年をピークとして起こるようになってきています。しかも、最近の子どもでは以前とは異なり、受験戦争、いじめ、夫婦関係、親の性格、子ども自身の性格に関係するものなど、日常的な小さなストレスのつみ重ねで起こることが多いと考えられています。

 

 したがって、子どもをとりまく親やまわりの大人がよほど注意していないと、子どもにストレスが加わっているとは考えにくく、ましてやそのストレスで目にトラブルが生まれるなどとは、想像もつかないことが多いのです。

 お父さん、お母さん、子どもはたしかに今の世のなかに、自分だけでは解消できないストレスを感じているようです。だから、子どもは目のトラベルで心のつらさを大人に向かってアピールしようとしているのではないでしょうか。「見える」ことを実現している器官は目や脳などですが、これがしっかりと働くためにはストレスのない心を持つことが重要です。

 したがって、子どもの目にとって大切なのは、体の正しい発育だけでなく、心のすこやかな発育も欠かすことができないのです。

 

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●「大丈夫?子どもの目」とは

 皆さんが見ている風景は目から入って脳で分析が行われるために、実際は脳で見ているともいえますが、この能力は子どもの頃に育ちます。したがって、子どもの頃の目や脳の発育はとても重要です。

 風景がきちんと脳へ送れる子どもでは問題ありませんが、近視・乱視・遠視などがあると風景をきちんと脳へ送れないために、脳や眼の機能が育たなくなることがあります。なかでも「遠視」は、目や脳の発育をじゃますることがあるために注意しなければなりません。もし、遠視のひどい子どもをそのままにしておくと、メガネをかけても視力のでない「弱視」や目が内側に寄ってしまう「内斜視」といった状態になることがあります。

 また、最近の子どものなかには、学校や家庭環境による精神的な原因で視力が低下する「眼心身症」も増えているようです。

 このように子どもの目は大人のように完成した目ではなく、発育段階にあるナイーブなものなので、さまざまな身体や精神の状態によっても影響を受けやすいのです。

 「大丈夫?子どもの目」では、子どもの目の発育を見守るためにかかせない基礎的な知識をおりまぜながら、子どものうちに治療が必要な病気だけでなく、両眼視、色覚、眼心身症などの目のトラブルについても、くわしくとりあげてわかりやすく解説しています。

お父さん、お母さんたちは、お子さんの目や脳を健康に育てるために、目に対する正しい知識を持ち、子どもの目の状態や心のトラブルなどに気をつけてください。

 

 本については、お近くの本屋か三天書房までお問い合わせ下さい。