射撃では「照準」が大切です。標的を安定して見えていれば、正確な照準ができて競技力は向上します。
標的を安定して見えるためには、目の機能だけでなく身体の状態や心理面まで含めたコンデショニングが欠かせません。
射撃では正確な照準ができるようにいろいろな要素を整えなければなりません。

照準とは
照準では標的と銃のフロントサイト(照星)、リアサイト(照門)の3点を一直線上に並べて、銃口を正しく標的へ向ける作業です。
照準

この作業は目の能力だけでなく、射手の呼吸、心拍、筋肉の緊張といった身体の要因からも大きな影響を受けます。
照準を支える目の機能
正確な照準をするには、目では以下の5つの要素を整える必要があります。
1.視力
射手は視力がよくても屈折異常(遠視・近視・乱視)があると標的がクリアに見えませんが、適切な視力矯正で
視力を向上させれば、標的が鮮明に見えるようになります。
2.ピント調節
射手は照準をするとき、標的、照門、照星にピントを合わせています。
ピントを合わせは毛様体筋を動かして、水晶体の厚さを変えて行います。
そのため、毛様体筋や水晶体には大きな負担がかかります。
ピント合わせは自律神経が反射的に行っていています。また、調節をする毛様体筋は内蔵の筋肉(心筋を除く)と同じ平滑筋なので、ピント合わせの目のトレーニングで鍛えることはできません。
したがって、目のトレーニングは、体調が悪くなる人もいることから、安易に行うべきではありません。
3.瞬き
瞬きは1分間に15~20回無意識に行われている約0.3秒と短時間で起こるまぶたの開閉です。
瞬きの回数は集中力すると少なくなり、緊張や不安感が増えるとで多くなるように、心理状態で瞬きは変化します。
4.涙
涙は角膜の表面に均一な膜を作って、視力を安定させます。
涙は瞬きのときに分泌するので、ドライアイの人や瞬きを長時間しないと、角膜の表面は乾いて均一な膜ができなくなって見えにくくなります。
したがって、射撃のように長時間見続ける競技では涙の表面が渇いてドライアイ状態になるので、競技力には大きな影響があります。
5.目の位置
標的をしっかり捉えられるには、標的がしっかり見えるように顔の位置を合わせて、視線を安定させることが重要です。
ピストル射撃は身体を横に向けて、顔だけを標的に向けているので、首や腕の筋肉の疲労が照準の精度を低下させます。
ライフル射撃は顔を銃に固定するので顔は若干右下方向に傾いて、目は左上方に固定された状態が長く続けるために、目の筋肉は疲労して照準の正確度は低下します。
The Rifle Sports参考
射手から見た照準 (例:ライフル射撃の照準)

The Rifle Sports から引用
照準の方法
照準をのときに片目を強く閉じると、閉じた目のまぶたが緊張して、その緊張が照準をする側の目にも伝わってしまします。また、視力やピント調節は片目よりも両目で見る方が良くなります。
したがって、標的は両目で見て、照準をしない目は遮閉板を使のが良いと思います。
利き目は視覚情報を処理するのに優れた目であると考えられていて、優位眼(マスターアイ)ともいわれます。
スポーツでは「利き目(マスターアイ)」の優位性は諸説あってはっきりしません。
射撃では、「利き目」を意識するよりも、「利き手」を優先する方がスムーズな動作に繋がりやすいと思います。
着弾点のずれ
射撃では照準と着弾点がずれる場合があります。
着弾点のずれは、「引き金を引こう」と決断した時の標的と「引き金を引く」時の標的のずれで起こります。
これは、「引き金を引こう」と決断してから、実際に「引き金を引く」までに約0.3~0.4秒のタイムラグがあるからです。このタイムラグの間は身体は安定しているのでなく、目の目の変化、呼吸、心拍、筋肉の緊張などの身体の揺れや傾きが起こり、集中力などのメンタルの影響も現れます。それらが銃の揺れに繋がります。
このように射撃では様々な要素が関係しています。
正確な射撃をするには、目の疲労の管理、姿勢による筋肉への負担、メンタルの安定などを総合的にコントロールすることが求められます。


「スポーツにとっての視力の大切さ」について
プロスポーツ選手・有識者との特別対談を行いました



