カラーコンタクトレンズとは
カラーコンタクトレンズ(以後カラコンと略)はファッションアイテムとして、若い女性を中心に多くの人に使用されています。
カラコンの色はさまざまな色素で着色されていて、着色されている部分がレンズ表面にプリントされているものや、レンズの素材の間にサンドイッチ状に挟み込まれているものがあります。
カラコンの種類としては、瞳の色を変えるレンズ(カラーレンズ)とレンズ周辺がサークル状に着色されて黒目を大きく見せるレンズ(サークルレンズ)があります。
カラコンは、以前は視力補正を目的としないことから自由に販売されていましたが、カラコンによる目の傷害が増えてきたために、2009年11月からはコンタクトレンズと同様に高度管理医療機器になり、販売するためには医薬品医療機器の承認が必要になりました。
しかし、現在のカラコンの販売は、インターネットや量販店など販売ルートが多様なために、販売されているカラコンがすべてわが国の医薬品医療機器に承認されているものとは限らず、承認のない粗悪なカラコンもあって、目にさまざまな問題が起こっています。

カラーコンタクトレンズによる目の障害
2012年に日本コンタクトレンズ学会が行ったカラコンによる目の傷害の調査では、カラコンによって395例の傷害があったことが報告されています。
カラコンで目に傷害が起こった原因はいくつかあげられます。
まずは、カラコンの素材、着色方法、規格に問題があります。
多くのカラコンは素材が角膜や結膜には十分に酸素が届かない酸素透過性の低いものが使われていて、角膜や結膜を傷つける可能性があります。
レンズ表面に色がプリントされているレンズでは、レンズをケアしているうちに着色で使用していた色素が擦れて落ちて、角膜や結膜を傷つけます。
過去に厚生労働省研究班が17製品のカラコンを調査したところ、10製品で酸化鉄などの色素成分が表面に露出していたとの報告があります。
また、カラコンのベースカーブ(レンズの曲がり具合)や大きさ(直径)の規格が購入者の角膜のサイズと違うと、角膜や結膜は傷つきます。このような問題が起こらないように、カラコンを選択するときは注意してください。
次に、カラコンの購入方法になります。
カラコンの購入は以前が約4割はインターネット通販、約3割はコンタクトレンズ専門店、残りがディスカウントショップ・雑貨店・眼科併発のコンタクトレンズ販売店・ドラッグストアなど多様でしたが、最近は通信販売による購入が約8割を占めています。
カラコンを購入する人はおしゃれが目的で使用するので、レンズの安全性よりもデザイン重視で気軽に購入しているようです。
カラコンをインターネットや販売店で購入するときは、「高度医療機器等販売業(貸与業)許可証の表示があることを確認してください。
また、購入者が購入後にレンズのケアをきちんと行っていないことも問題です。カラコンを購入した人のアンケート調査では、カラコン購入後に定期検査を全く受けていない人が約3割いました。
カラコンで目の調子が悪くなったときも、その約半数は眼科を受診していませんでした。
カラコン購入後も通常のコンタクトレンズと同様にケアは大切です。
目の定期検査は3か月に1回程度は受けるようにてください。

カラーコンタクトレンズを正しく使いましょう
カラコンを購入するときは、デザインだけで選ぶのではなく安全性も確かめてから購入してください。
また、カラコンを通信販売や店頭で購入するときは、「高度医療機器等販売業(貸与業)許可証」の表示があるかを確認してください。
そして、購入後は目の定期検診を含めてケアをしっかり行ってください。
カラコンは使用方法が悪いと目を傷つけるだけでなく、最悪の場合は失明に至る危険性もあります。
カラコンを購入されるときは、眼科で目に異常がないことを確認して、カラコンについての安全性やケアについての説明を十分に受けてください。
参考:独立行政法人国民生活センター:カラーコンタクトレンズの安全性
-カラコンの使用で目に傷害も- (独立行政法人国民生活センター)
2025年全国中学生高校生のカラーコンタクトレンズの使用実態
日本眼科医会報告書

遠近両用コンタクトレンズ
中高年になると老眼が始まり、近方が見にくくなります。
老眼の人は遠近両用コンタクトレンズが開発される前は、遠近両用の眼鏡を使用していましたが、遠近両用のコンタクトレンズが開発されてからは、遠近両用コンタクトレンズを使用している人が増えています。
現在は老視を自覚しているコンタクト使用者の1/4が、遠近両用コンタクトレンズを使用しています。
遠近両用のメガネやコンタクトレンズには、遠方と近方が見えるレンズが入っています。
遠近両用メガネは、レンズの上方に遠くが見えるレンズ、下方に近くが見えるレンズが入っています。
したがって、視線は遠くを見るときはまっすぐにして、近くを見るときは下に向けなければならないために、遠方と近方を見るときで視線を上下にずらす必要があります。
遠近両用メガネ

遠方用と近方用のレンズが上下に別れて入っている
遠近両用メガネの視線

遠方と近方を見るときは、視線をずらす必要がある
そのため、遠近両用メガネは階段を降りるときは足を踏み外しやすく、メガネに慣れるのにも時間がかかります。
遠近両用コンタクトレンズは、遠方と近方を見るレンズの度数がレンズの中に同心円状に入っています。
したがって、遠くを見るときも近くを見るときも、視線を移動させることなく、見たいものにピントを合わせて見ることができます。
遠近両用コンタクトレンズ

遠方用と近方用のレンズが同心円状に入っている
遠近両用コンタクトレンズの視線

遠方と近方を見るときは、視線をずらす必要がない
そのため、遠近両用コンタクトレンズは、メガネに比べて階段を降りる時も楽で、コンタクトレンズに慣れる時間も早くなります。また、他人からも老眼であることが気づかれませんし、老眼鏡を持ち歩く必要もありません。
眼鏡を使うことが面倒だ、どの方向でもよく見るようになりたい方は、遠近両用コンタクトレンズを一度試されてはいかがでしょうか。


「スポーツにとっての視力の大切さ」について
プロスポーツ選手・有識者との特別対談を行いました