フレイルとは
私たちの心身は年齢とともに、健康→プレフレイル→フレイル→要介護と弱まってきます。
日本老年医学会は、このような年齢による心身が弱くなる状態を「フレイル」と提唱しています。
アイフレイルとは
健康な目を持つ人も、加齢による目の構造や機能の変化、目の病気(白内障や緑内障、加齢黄斑変性)、生活習慣(食事、運動不足、紫外線、喫煙など)などで、見る力が衰えてきます。
そして、見る力がさらに衰えると身体にも影響して、自立機能の低下や日常生活で制限を伴うようになり、健康寿命が短くなります。
このように加齢で目の健康が徐々に衰えていく状態を、眼科では「アイ(eye=目)」と「フレイル(frail=虚弱)」を組み合わせて、「アイフレイル」と提唱しています。
アイフレイルの概念

アイフレイルは加齢、目の病気、生活習慣で起こり、健康寿命と関係する
アイフレイルと日常生活
身体のフレイルでは、身体活動量や移動機能が低下します。目のアイフレイルでは、歩行速度や階段を昇降する速度が低下します。
日常生活の制限における人口寄与危険割合(もし特定のリスクの要因がなかったら、疾病発生が何%減少するかの割合)の報告では、1位が腰痛症、2位が関節症、3位が目の病気となり、目の病気は日常生活の制限に大きく関連しています。
日常生活の制限における人口寄与危険割合

眼・視覚障害は日常生活の制限と関係する病気の3位です
また、日本における介護が必要になった原因の報告では、8番目に視覚・聴覚障害が入っています。
他の原因も視覚障害が関連していることを考えると、視覚障害は見る力の低下だけでなく「フレイル」も悪化させて、健康寿命を短縮させていると考えられます。
介護が必要になる病気

介護が必要になった原因の8番目が視覚・聴覚障害です
視覚障害と高齢者の転倒
米国/英国の老年医学会と米国の整形外科学会からは、視覚障害がある高齢者は通常の高齢者よりも転倒する危険が2.5倍と報告されています。
また、視力の低下は転倒・大腿骨頸部骨折を増加させることや、視力が0.5未満の人は日常生活で必要な動作や社会活動の能力が低下する報告もあります。
日本では高齢者の5.4%が年間に2回以上の転倒を経験していますが、視力が良くなると転倒の割合が20%減少するとの報告があります。
このような様々な研究から、視覚と転倒は関連していることが明らかになっています。
転倒の危険因子

視覚障害があると、転倒のリスクが2.5倍に増加します
アイフレイルの自己チェック
皆様がアイフレイルになっているかを判断できる自己チェック表が、日本眼科啓発会議から出されています。
自己チェックからアイフレイルの疑いがあるようであれば、眼科を一度受診してください。
アイフレイル自己チェック

アイフレイルの予防と対策
アイフレイルはさまざまな病気と関連があるので、アイフレイルを防ぐ必要があります。
そのためには、日常生活のなかで次のような目を守る習慣をつけてください。
① 目に良い栄養素を意識して摂ること
② 外出時はUVカットサングラスや帽子を着用して、紫外線対策をすること
➂ 適度な運動や肩こりを改善し、目の疲れを軽減させること
④ スマホやPCを長時間の使用を避け、休憩をいれて目を休ませること
⑤ 定期的に目の検診を受け、異変を感じたら眼科を早めに受診すること
⑥ 適切なメガネ・コンタクトレンズを使用すること
日本眼科啓発会議 アイフレイル・ガイドブックから抜粋


「スポーツにとっての視力の大切さ」について
プロスポーツ選手・有識者との特別対談を行いました



