スポーツによる目のケガについて
目は日常生活の情報の8割を取り入れているといわれています。
しかし、目はケガに弱く、取り返しのつかない後遺症があると見えなくなることもあります。
独立行政法人日本スポーツ振興会(JAPAN SPORT COUNCIL略してJSC)の報告では、学校ではスポーツによる眼のケガは年間約3万件も起こっていて、眼のケガの約4割を占めています。
スポーツによる眼のケガを予防することはてとても大切です。
野球における目のケガについて
眼のケガが多い野球を例にあげると、野球における目のケガはバッティングのときの自打球やイレギュラーバウンドによる捕球ミスなど、ボールが選手の近距離から高速度で飛んでくるときに多く起こっています(JSCの学校事故事例検索データベース)
産業技術総合研究所で行った投球マシンを使ったバッティング実験では、自打球の約1割が顔面に飛んできて目にケガを起こす可能性がありました。
しかも、自打球が打者の目に当たるまでの時間は0.1秒以下と短いので、選手は自打球が見えないので、自打球を避けることができません。
近距離から飛んでくるボールから選手の眼を守るためには、「スポーツ用保護メガネ」を使用する必要があります。
スポーツ用保護メガネ
1)メガネに必要なこと
目をボールや身体の接触、紫外線、埃やごみなどから保護できるものでなければなりません。
レンズは強い衝撃でも割れないポリカーボネート、フレームは視野が広く見えて頭や顔にフィットするようなデザインのものを選ぶ必要があります。
2)メガネの種類
種目や目的に応じて、さまざまなタイプのものが開発されています。
眼鏡タイプは、目だけを保護するもので、野球・バスケットボール・スカッシュなどで使用されます。

眼鏡型 山本光学
ヘルメットと一体型のタイプは、目だけでなく顔や頭部へのダメージをも保護するもので、アイスホッケー・アメリカンフットボールなどで使用されます。

サングラスタイプは、目を紫外線や塵・埃・風から保護するもので、自転車・ビーチバレー・マラソン・ヨットなどで使用されます。
海上や水上で行なうスポーツでは眩しさを減らすために偏向レンズが使用されることもあります。

オークリージャパン サングラス型
ゴーグルタイプは、目を風や紫外線から保護するもので、スキーやスノーボードなどで使用されます。

オークリージャパン ゴーグル型
カップタイプは、目を水・塩素から眼を保護するもので、水泳で使用されます。

水泳用 山本光学
スポーツ用保護メガネの現状
米国眼科学会(American Academy of Ophthalmology略してAAO)は、アメリカではスポーツやリクリエーションによる目のケガが年間42,000件以上発生していると報告しています。
AAOはそれらの目のケガを防ぐには、ASTM International(American Society for Testing and Materials International) の安全規格で作られたスポーツ用保護メガネを使用すると、目のケガを9割防ぐことができると公表していて、スポーツやリクリエーションではスポーツ用保護眼鏡を積極的に使用することを勧めています 。
スポーツ用保護メガネの普及について
スポーツによる目のケガが生活上のハンディとなることを考えると、目のケガはけっして楽観できるケガではありません。
以前はスポーツによる目のケガを予防する有効な方法はありませんでしたが、スポーツ用保護メガネができたことから、スポーツで目を守ることができるようになってきました。
現在のわが国ではスポーツ用保護メガネへの関心は低く、学校やスポーツ現場でも使用する環境が整っていないことから、普及していません。
今後、多くの人がスポーツ用保護メガネを積極的に使えるようになれば、スポーツにおける目のケガを少なくすることができると思います。
なお、わが国では販売されているスポーツ用保護メガネがすべてASTM Internationalや一般財団法人製品安全協会(SG)に合格しているものではありません。
これらの安全規格が表示されていない製品もスポーツ用保護メガネとして販売されています。スポーツ用保護メガネを購入されるときは、ASTMやSGで保証されている製品であることを確認してください。


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