1.スポーツでは視力は重要である
視力の悪い選手はプレーで目から情報をしっかりと取りいれることができないので、競技能力を十分に発揮することができません(図1)。

競技能力は視力に影響を受けます
また、競技能力は視力に影響を受け、その影響は競技種目によって異なります(図2)。
図2 競技種目別の視力と競技能力

競技によって視力の影響は異なります
したがって、視力の悪い選手の競技能力を十分に発揮させるには、視力の矯正をして視力を良くすることが必要です。
視力矯正はどのような目のトレーニングよりも競技能力を確実に向上させますので、視力が悪い選手ではかならず行ってください。
2.コンタクトレンズはスポーツに適しているのか?
国立スポーツ科学センター(Japan Institude of Sports Science:略してJISS)の結果では、わが国のトップアスリートの35.1%が視力矯正をしていました。
そのなかで最も多い視力の矯正方法はコンタクトレンズで88.3%を占めていて、使用されていたコンタクトレンズは91.8%が交換型レンズ(Disposable Contact Lenses:略してDCL)で、DCLの種類では1日交換型レンズ(略して1dayDCL)と2週間の頻回交換型レンズ(略して2WDCL)がほぼ同じ割合で使用されていました(図3)。
図3 トップアスリートの視力矯正

視力矯正の方法は、コンタクトレンズが9割を占めています
3.コンタクトレンズが適しているスポーツとは?
コンタクトレンズの使用が適しているのは、対象物を詳細に捉える必要のある標的競技、ボールや見る物が速く動くために良い視力と広い視野を必要とする球技やスピード競技です。
わが国のトップアスリートの状況では、標的競技や球技の選手にコンタクトレンズの使用が多いようでした(図4)。
図4 トップアスリートの競技群別視力矯正方法

視力矯正方法は競技によって違いますが
コンタクトレンズがもっとも多く使用されています
しかし、コンタクトレンズは視力の矯正方法として、すべての競技群で最も多く使われていました。
4.選手にとって最適なコンタクトレンズとは
選手がスポーツで最適なコンタクトレンズを選ぶには、良好な視力が得られる、快適な装用感、手間がかからないことなどが大切な点です。
1)良好な視力が得られるコンタクトレンズ
2)快適な装着感のコンタクトレンズ
(1)乾燥感が少ない
(2)角膜に十分な酸素が届く酸素透過性が高い
(3)フィット感が良く激しい眼や体の動きでもずれにくい
3)保存や洗浄などの手間がかからないコンタクトレンズ
4)紫外線の影響を軽減させるコンタクトレンズ
5.選手のプレー環境を理解したうえでのコンタクトレンズ作製を
目の状態は選手それぞれで違っています。また、プレー環境も様々です。
したがって、選手に適したコンタクトレンズを選択するときは、選手の目にもっとも合っただけではなく、プレーしている環境に合ったものを選択する必要があります。
そのためには、正確な視力検査だけでなく、角膜形状解析検査や涙液検査も必要です。
また、選手のプレー環境についても、選手からよく聞く必要があります。
しかし、選手が適したコンタクトレンズを使用していても、選手の視力がいつも十分な競技能力を保てるようになっているとは限りません。
選手の視力がいつも良い状態であるかをチェックするには、定期的なコンタクトレンズの検診が必要です。


「スポーツにとっての視力の大切さ」について
プロスポーツ選手・有識者との特別対談を行いました