スポーツ眼科

スポーツ選手のパフォーマンスアップに必要なのは、適正な視カです。

1)スポーツ眼科とは

競技能力を最高に発揮させるには目を最適な状態にすることが大切です。そのためにはスポーツを前提とした目の管理が必要です。

しかし、いまだに多くの選手が目の管理をしていないために競技能力を十分に発揮できていないようです。競技能力を最高に発揮するには目のメディカルチェックを実施して、目を最高の状態にすることが必要です。

スポーツ眼科は選手の目を最適な状態にする・眼外傷を予防する・眼外傷を受けた時に処置をする・外傷後に目の機能の回復を手助けするなど、選手のさまざまな目の問題を解決して選手が最高の状況で競技ができるようにします。

2)スポーツにおける視力の重要性

視力が悪いと競技能力は低下します。視力1.2の競技能力をベストとすると、0.5で80%、0.1で60%まで低下します。 競技能力をベストにするには、視力はとても重要です。

視力の影響は競技種目で異なります。球技では、視力低下の影響はとくに大きいようです。

3)スポーツビジョンについて

「優秀なアスリートは優れた目を持っている。したがって、目をトレーニングすれば優秀な選手になれる。そしてスポーツビジョン検査 をするとアスリートの競技レベルがわかる。」と、スポーツビジョンでは考えています。

しかし、トップアスリートのスポーツビジョン 検査結果では、目の能力が一般人よりも優れているアスリートもいれば、一般人と同じアスリートや劣るアスリートもいます。

優秀なアスリートの目の能力は一般人と変わらないとの報告もあります。 片眼が弱視で視力が悪いもかかわらず日本代表になった球技のアスリートもいます。

したがって、目が悪いからといって優秀なアスリートになれないとあきらめることはありません。 目を最適な状態にして、スポーツをすることをお勧めします。

4)眼を良くする方法は?

視力矯正と視覚矯正があります。視力矯正は屈折異常(近視・乱視・遠視)で視力が低下している人にコンタクトレンズや眼鏡で視力を改善させます。視覚矯正は器具で眼をトレーニングします。

眼が良くなる効果は視力矯正は実感できて客観的にもわかります。しかし視覚矯正は実感しにくく教える人によって器具や方法が違うので客観的に評価できません。

また器具によるトレーニングはスポーツ現場の練習よりも効果が少ないようです。眼を良くするには見るための機能を整えることが大切で、器具で鍛えれば良いというわけではなさそうです。

5)どのような方法で視力を矯正すれば良いの

国立スポーツ科学センターでの調査では、トップアスリートの矯正割合は35.1%で、屈折矯正方法としては競技種目によって異なるが、すべて競技群でコンタクトレンズが最も多かったというデータがございます。

メガネは激しく動かない競技(ゴルフ・アーチェリー)やほこりが多いなかで行う競技で適していますが、視野が狭くなるなどの欠点があります。

コンタクトレンズは激しく動く競技や球技で適しています。
角膜矯正手術はメガネやコンタクトレンズは使用しなくてすみますが、夜間視力・まぶしさの増加・角膜強度の低下が起きます。

オルソケラソロジーは矯正可能な度数が限られていること、視力の日内変動などの欠点があります。 このような特徴を知ったうえで矯正方法を選択することが大切です。 どの矯正方法が良いかは、眼科医と相談してください。

6)スポーツ傷害から眼を守ろう

スポーツによる眼の傷害は10歳代・20歳代が多く、原因はほとんどがボールや体の衝撃ですが、スポーツ中に受ける紫外線もあげられます。視力低下など日常生活でも重大なハンディとなる後遺症が多いことも特徴です。

眼を守るには保護メガネの装用が有効です。衝撃から眼を守るにはポリカーボネートレンズの入ったメガネ、紫外線から眼を守るにはUVカットレンズの入ったメガネを使用することをお勧めします。

7)日本スポーツ視覚研究会

「スポーツと視覚」の関係はいまだはっきりとはしていません。「スポーツと視覚」の研究と正しい知識の普及を目的として会が作られました。

会員は眼科専門医、大学眼科教授、視覚心理専門家、体育関係者、各種スポーツ団体のトレーナーなど様々な分野の専門家で、それぞれの分野から「スポーツと視覚」の研究を行っています。

今後も会は研究を続け、より確かな「スポーツと視覚」の知識の情報を発信して行きたいと思います。

「スポーツにとっての視力の大切さ」について
プロスポーツ選手・有識者との特別対談を行いました